2013年 11月 20日
「円礫の宴」について、私がドライブ旅行の前に その一部をUPしましたが、今日はその謂れを説明します。 円礫とは字の通り丸い石で、この石を焚き火で熱し、 真っ赤に焼けた石を熱源にして料理し楽しみます。 通常、熱せられた石を水に浸すと割れますが、 この石は火成岩で何度加熱を繰り返しても割れません。 この円礫が在るところは宮崎県五ヶ瀬町、宮崎熊本県境に またがる山地「霧立越え」の登山口にある狭く限られた湧水地。 霧立越え山地は石灰岩など海洋性の堆積岩で生成されていて、 川などの流水で丸くなったと思われる火成岩の 直径12cm前後の円礫がそこにあることが摩訶不思議です。 霧立の山をこよなく愛する山男のグループが、 この不思議さに興味を持ち様々に詮索した結果、 他にも様々な可能性があるが、 誰かが他から持ち込んだ可能性が高いと結論付けた。 では誰が何のために ??? それも幾つか可能性が考えられるが、 その一つが「サンカ(山窩)」の人たちが食事を作るために、 持ち込んだのではと考えました。 サンカは全国的にいたようですが、熊本宮崎の山間地では 昭和の初期まで、農作業用の竹細工の販売や修理を しながらジプシーのような生活する集団がいたそうです。 サンカが焼いた石で料理をした記録も残っています。 そこで、山男たちはそれを再現してみようとなった。 今回、作る料理はキノコ汁とヤマメの朴葉焼きです。 キノコ汁の方は食材を入れた大きな鍋に、焼いた石を 一度 綺麗な水に漬けた後、鍋に入れていきます。 石を何個か入れると、鍋は白い泡を出して沸騰します。 今日料理するヤマメですが鮭の様に大きいでしょう。 このヤマメ、海で養殖したものです。 山男の中心人物Aさんは五ヶ瀬川の上流でヤマメの 養殖をしていますが、今年初めてそのヤマメを 五ヶ瀬川の河口・海で養殖してみると、 こんなに大きく成長したそうです。 何故か、大きく成長したのは雌だけで、 雄は殆ど死んだそうです。 ヤマメの朴葉焼きですが、まず焼いた石を地面に並べ、 その上に粘土質の赤土を敷きます。 この赤土は円礫がある湧水地付近から採ったものです。 他の土も試したがこれが最も適しているそうです。 赤土の上にヤマメを朴葉で両側から包み、 その上を赤土で覆い、焼いた石で押さえ蒸し焼きにします。 (横に写っているペットボトル500mは関係ありません) 円礫をたくさん並べれば良いのですが、 円礫の宴の会場は円礫がある湧水地から3km以上離れています。 運ぶのが大変、使用した後次回のために元の山に返却します。 そのため、ここでは円礫が足らない分は薪を燃やします。 福岡から鹿児島まで九州各地から集まった山男たちは 春・秋年2回、『円礫の宴』と称して懇親会をしています。 それは料理に円礫を使うことが決まりのようになっているからです。 料理の材料は山に入り山菜を採取するほか天然ハチミツ、 ヤマメ、シカやイノシイの肉が加わる山の幸のオンパレード。 参加者が持ち寄った秘造酒で辺りが暗くなるまで宴会は続きますが、 2次会はホテルに席を移し地元の神楽を楽しみます。 そして翌日は、ガイドブックにない未踏ルートの登山です。 参加者は約15名の何時もの山男たちとゲストの女性4~5人。 このワイルドな料理とワイルドな登山の所為か、 何故かこれまで2回続けて参加した女性はいません。 それにしても、この円礫が霧立越えの登山口に有るのが不思議です。 サンカが持ち込んだにしては量が多すぎる。 数えたこと無いが100個くらいかな? 西南戦争で西郷軍が敵陣に火災を起すための弾として使ったものとの新説もある。 (西郷軍は敗走の途中ここを通っている)
by dojyou38
| 2013-11-20 21:19
| 登山
|
Comments(12)
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matutaka31 at 2013-11-21 18:11
円礫は、一度テレビで見たことがありますが、風流で里山ならではの
風情ですね。 石を焼くまでの時間が長そう~。ノンベーにとっては忍耐の一時になりそうですね。 でも体験する価値十分と思いました。 それにしても、ヤマメの大きいこと、さぞかし美味だったことでしょう。
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dojyou38 at 2013-11-22 16:57
matutaka31 さん
円礫の宴では参加者は朝10時に集まり、それぞれの役割を決めて準備にかかります。 私は食材調達係りとして弁当を持って山に入りました。 主としてキノコ採りですが、マツタケはゲット出来ませんでした。 宴が始まるのは夕方4時頃です。
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dojyou38 at 2013-11-22 16:58
やまちゃん さん
石焼き料理は各地にあるようですね。 自然現象では有り得ない場所に、宴に使えそうな大きさの安山岩があることに、 私たちは大いに疑問を持っています。 その疑問は疑問として、今では平素全員が顔を合わすことの無い山男たちが、 年に2回集まる口実のようなものです。
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dojyou38 at 2013-11-22 16:59
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dojyou38 at 2013-11-22 17:00
とんぼ さん
このように石を使う料理法は少ないけど各地に残っているようです。 私たちが不思議がっているのは、標高1400mの霧立ちの登山口に、 一箇所に捨てられたようにあるのことです。 天然と言うか自然のヤマメが自然に降海して大きくなって川の上流に遡上することもあるようです。 しかし、ここでも降海するのは何故かメスだけだそうです。
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taminamikawa1 at 2013-11-23 23:16
「円礫の宴」という貴重な伝統的なイベントが残っているんですね、
大事に後世に伝えて残していきたいですね。 それにしても、ヤマメの養殖を清流に比べ、 川の河口・海で養殖したのが、信じられないぐらい 大きく育つんですね、びっくりしました。 まさに、事実は過去の慣習より真実なりですね。
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dojyou38 at 2013-11-24 21:04
taminamikawa1 さん
ヤマメは自然界でも降海して大きくなって川の上流に遡上することもあるようです。 今回、Aさんは養殖しているヤマメを海へ運び育ててみたそうです。 その結果、写真のように大きくなったとのことでした。
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hervy
at 2013-11-27 12:11
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dojyou38 at 2013-11-27 16:13
hervy さん 今日は
NewZealandに一度訪ねたことがありますが、ハンギ料理のことは知らなかったです。 円礫を使った料理方法は日本でも各地に僅かですが残っているようです。 世界を探せば幾つもあることでしょう。 私たちがやっているのは、料理と言うより遊んで楽しんでいるようなものです。 |
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