2014年 07月 26日
4:30 起床、深い霧・気温12℃。 昨日、小屋の前から仰ぎ見られた赤岳も すっかり濃霧の中。 5:30 朝食。小屋の主人から赤岳登攀の アドバイスを受ける。 雨の可能性もありスパッツに雨具、 完全武装で出発準備OK。 6:15 オオシラビソの樹林へと踏み出し、 いよいよ中岳沢沿いに赤岳を目指す。 しばらくは緩い登りだが高度が上がり、 中岳沢が枯沢になるところで風が出た。 文三郎道入口の道標 6:35 阿弥陀岳分岐に到達、標高約2400m 雪が深くなるのか、 九州の道標に比べ背が高い。 左に取って文三郎道に踏み入れる。 ここからは梯子・階段の急傾斜が始まる。 この辺りから登山道を覆うダケカンバや シラビソなど高木が少なくなり、空が開け ハイマツやキバナシャクヤクが現れてくる。 ジグザグの急坂を鉄の階段・ステップや 鎖・ロープによってぐんぐん高度を稼ぐ。 足元は赤い砂礫や岩屑のザレ場、ステップや 鎖がなければ容易には登れそうにない。 高度が上がるに従い風も強くなってきました。 風で何時の間にか濃霧も吹き飛ばされ薄くなり、 高度2600mから振り返ると遥か下に、 スタートした行者小屋が小さく見えていました。 登山道沿いのイワカガミ・キバナシャクヤク・ ハイマツなどの傷つきながら咲く花の姿に 烈風・寒風に立ち向かう生命力を感じながら 1歩づつ登っていきました。 赤岳北西斜面に残る雪渓 僅かに姿を現した硫黄岳の稜線(赤岳中腹より) 岩壁に貼り付けられたレリーフ 「山を美しく 美は登山の心です」と刻む。 階段・ステップの後に岩登りが待ち受けていたが、 厳しいところはクサリが施されている。 頂上目指して右側に迂回する、 風圧は和らぐが濃霧が留まり視界を遮る。 足元の岩陰に咲くチョウノスケソウ・ワベンケイなど 可憐な花が疲れを癒してくれます。 更には思いがけない「応援メッセージのレリーフ」に 山頂近いことを示唆され勇気を貰いました。 山頂見ゆ 深い霧の中、クサリや登山道を示す黄色や 白ペンキのマークに導かれて、 山頂直下まで遣ってきました。 8:35 赤岳(標高2899m )登頂 行者小屋を出て2時間35分を要す。 標準タイムは2時間10分ですから、高齢者の 私たちにしては順調な足取り。 私たちが登った時刻に、このコースを利用する 登山者が少なかったこと、濃霧と風でゆっくりと 眺望を楽しめなかったことが幸いしたかも知れない。 赤岳(八ヶ岳連峰最高峰)登頂記念写真 赤岳山頂直下(2722m)に 「赤岳山頂荘」と言う山小屋があります。 私たちは濃霧と風に登頂の余韻に浸ることなく、 この山小屋に休息の場を求めました。 登頂の喜びをビールで乾杯したいところだが、 これから先 待ち受けている厳しい横岳突破を 思うとそれも控えなければならない。 昼食には早すぎる。 風、ますます強くなってきた気配。 熱いココアで乾杯、冷えた体を温め強風に備える。 赤岳から硫黄岳の間に北に向かって 横たわる横岳は瘦せ尾根の連続。 どこが山頂か分からない小さな上り下りを 繰り返しながら延々約3km続く。 赤岳山頂荘を出て急坂の脆い岩稜を200mばかり 下ったところが地蔵の頭。 道標の傍にお地蔵さんが祀られていて、 左に分岐すれば今朝スタートした行者小屋に至る。 私たちは横岳山頂を目指し、強風の中直進します。 この辺りから、私たちとは逆に硫黄岳・横岳経由で 赤岳を目指すハイカーに出会うようになりました。 中には、ショートパンツにサンダルの若者も。 登山道は横岳の稜線・岩峰を左に右にジグザグに分けて進むが、左に取れば左側が絶壁、右に取れば右が絶壁。 背を屈め風を避けながら、足の踏み場を確かめ確かめゆっくりと進まざるを得ません。 幸い、濃霧で谷底までは見透せないので足がすくむことがありませんが、強風に煽られたらと思うとぞっとしました。 横岳山頂手付近の西側はスパッと切れ落ち、 クサリを頼りに僅かな足場をカニの横這いを 強いられるスリリングなルートです。 ルートが尾根の西側に廻ると強烈な風の圧力。 前を行くメンバーのリックカバーを何度直しても リック本体から外れ旗のように煽られています。 11:30 横岳山頂直下の東側に風避けのスペースを見つけ昼食としました。 相変わらずの濃霧ですが雨は無く、 稜線の風下側は穏やかで落ち着いて 山小屋が用意してくれた弁当を楽しみました。 12:20 横岳登頂 標高 2829m 稜線の東側は鑿で切り裂いたような絶壁ですが、 チョウノスケソウ・ウルップソウ・ハクサンイチゲなど 様々な高山植物の大群生地です。 でも、絶壁と強風で写真撮るのは危険でした。 横岳山頂付近の西側絶壁 → 横岳山頂を過ぎてもまだまだ スリリングな悪路が続きます。 13:20 硫黄岳山荘到着 標高 2650m 山荘の傍に立派な駒草神社が祀られていた。 強風の中、悪戦苦闘してようやく山小屋到着。 とは言え、当初余裕有る行程をしていたので、 2時間40分も早く到着、嬉しい誤算。 本来は硫黄岳山荘泊としていましたが、 計画を変更今日中に赤岳鉱泉まで下りることに。 山小屋の主人に事情を話すと快くキャンセル了解。 改めて赤岳鉱泉の予約が必要だが、 私たちの携帯は誰も圏外。 小屋の主人の携帯を借り、予約成立。 電話代100円也。これで安心して下山が出来ます。 紅白のコマクサ 駒草神社の近くに紅白のコマクサがありました。 白いコマクサは大変希少種だそうです。 この八ヶ岳でも私たちが見たのはこの1株のみ。 14:30 硫黄岳登頂 標高 2700m 硫黄岳山荘から硫黄岳へは1度少し下った後、 これまでのような危険も無い、ゆったりとした 勾配の稜線を高山植物の鑑賞しながら ハイキング気分で30分ばかり登るともう山頂です。 でも相変わらずの風、山小屋の話では15mの 強風だそうです。 その数字に納得の風でした。 硫黄岳は火口壁にあり、鈍頂で標識が無ければ 山頂と気が付かないような山容でした。 これで、計画の3座を滞りなく踏破しました。 濃霧の合間に一瞬姿を見せた赤岳(下山時、赤岩の頭から、赤岳の左が横岳) 15:00 赤岳の頭を通過 16;40 赤岳鉱泉に下山(標高2220m) 赤岩の頭を通過す時、強風でさしもの濃霧も吹き 払われ、一瞬では有ったが赤岳の全容を目に 納めることが出来ました。 朝6:15 に行者小屋を出発、休憩を含めて 10時間25分歩き通して、計画通り3座をめぐり 当初のコースタイムより早く無事全員下山し万歳。 でも明日、スタート地点の美濃戸まで、 歩行3時間の下山が残っています。 山小屋の夕食で成功を祝い乾杯したことは 言うまでもなく、早くも来年の信州へと夢を 膨らませていました。 今日 山で出会った花 もっともっと珍しい花に出会ったと思うが、スリリングな歩みに気をとられシャッタを押せなかったのが残念です。 シャッタを切った積りが風に煽られピント外れもたくさんありました。 写っている中から、10種UPしますが何時もの事ながら名前に自信ないものがあります。 キバナシャクナゲ ハイマツ ミヤマシオガマ コケモモ チョウノスケソウ イワベンケイ オヤマノエンドウ ウルップソウ ミヤマキンバイ ツガザクラ
by dojyou38
| 2014-07-26 10:15
| 登山
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Comments(16)
登頂おめでとうございます
ガスと風の中 2900mとは 驚き 超元気 お花に迎えられて でも想像以上の険しさ 私は そこに山があるから眺めるだけ
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おはようございます。
朝4時半の起床で6時15分には出発ですか、山では早いのですね。 鎖などを頼りに登れるとはいえ急な坂ですね。脚がよく動きますね。 珍しい草花をたくさん見せていただきありがとうございました。
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dojyou38 at 2014-07-29 08:33
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dojyou38 at 2014-07-29 08:36
お早うございます!
スリリングな鎖場の写真が良く撮れましたね!私は手さぐりで進むのが 精一杯でした。もう少し晴れていればと思いますが、その時は絶壁に足が すくんで三座登頂も時間がかかったでしょうね!
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dojyou38 at 2014-07-29 10:43
しかし、みなさん良く歩きました。
前日の様を見ていただけにN長老の歩きには驚愕と尊敬です。 10時間以上は私の登山暦でも初めてのような気がします。 後から考えると、もう少し歩き山を楽しみかったです。
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tetsu807-2 at 2014-07-29 15:03
有難うございます。自分が果たし得なかった高山の縦走を
気軽に見せていただき楽しんでいます。私も宮之浦岳に登った時は 10時間くらい歩きましたが、それはもう少し若い時代です。 一つお尋ねしたいのですが、随所でカメラを取り出し、素早く撮る。 カメラを頻繁に出し入れしたり、手袋も付けておられるでしょうに、 やはり、前に下げておられるのでしょうか。厚かましく申し訳ありません。
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dojyou38 at 2014-07-29 17:11
tetsu807-2 さん
宮之浦岳登ったことありませんが、コースによっては長い歩きになるそうですね。 私は動作が鈍いので素早く撮ることが出来ません。 写真を撮っているとパーティーから置いとけぼりになります。 早く歩くことには慣れているので直ぐ追いつきますが・・・ カメラはいつも首に掛けて上着のポケットです。 特に冬は電池の温度が下がらないように、電池側が肌に密着するように心掛けています。
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taminamikawa1
at 2014-07-29 22:34
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八ケ岳連峰3座(赤岳・横岳・硫黄岳)縦走、おつかれさまでした。
北・中央・南アルプス、八ケ岳連峰等、未経験でしたので、 不安もありましたが、無事、3座登頂でき、良かったですね。 それにしましても、コマクサを初め、高山植物の宝庫ですね。 私の登山歴に彩りを添えてくれました。
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dojyou38 at 2014-07-29 23:14
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kiyotarou
at 2014-07-30 05:16
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南八ヶ岳縦走登山の様子が良く描かれていますね。
本で読んで、横岳周辺が危険だと知っていましたが、予想以上に大変でしたね。N先輩が「ここは地獄の3丁目」等言っていましたが、まさに地獄道でした。赤岳鉱泉に浸かったときは「ここが極楽だ」と感じました。10時間を超える登山、お疲れ様でした。
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dojyou38 at 2014-07-30 09:09
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ジジイ
at 2014-07-30 09:31
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登山の経験が無い私には、画像を見るだけでも、足が震える感じです。
その中にあって、可憐な花々は、気持ちが落ち着きます。
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dojyou38 at 2014-07-30 14:26
ジジイ さん
山歩き、私も何時まで出来るか分かりませんが、今しばらく自分の体力に叶ったところへ出かけたいと思います。 山歩きをして花に癒されますが、特に厳しい気象に耐えて咲く高山植物には勇気・生命力を感じます。
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豊津の信ちゃん
at 2014-07-30 20:16
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赤岳登頂、おめでとうございます。
数年前、山口の山友と赤岳鉱泉にテントを張り、周回したことを思い出しました。 横岳の岩場は気が抜けませんよね。お疲れ様です。 最後のお花のツガザクラはアカモノ(イワハゼ)ではないでしょうか。 私どもも東北の山歩きのUPがようやく終わりました。 お花に癒された山旅でした。
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dojyou38 at 2014-07-31 10:09
豊津の信ちゃん 暫くでした。
相変わらず凄いな~東北への山旅でしたか。 東北へは何度か旅していますが、山には登ったことありません。 ブログ訪問させていただきます。 花の名前、有難うございました。 再度チェックします。 |
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